最初だけ人見知り

前向きなことを語りたいです

ラジオのドラマ風CMはラジオドラマではない

「2023年2月1日(水)から公開 された、radikoのドラマ風CM『音はつながる、あの頃と未来に。』に違和感を感じる意見に同感。

 

声優の芝居は画があることが前提。

画を見てない「聴いてるだけ」のラジオリスナーにとっては、ただ誇張された声優の喋りを聴かされてるだけではドラマを聴いてる感覚にはなれない。


「ドラマ風CM」はドラマ風でしかなく、アニメやドラマに声優がアフレコするものでもなく、俳優が演じるラジオドラマとも全く別物。


画がなくても声優の演技を楽しむには、キャラクターと声優の組み合わせが「この声優といえばこのキャラクター」とまでに周知であることが条件。

だからこのドラマ風CMに違和感を感じなくなるためには、アニメ画を嫌というほど見て声優とキャラクターを頭に擦り込むしかない。

 

それでも声優の声自体が好みでなければ、リスナーはこのCMを結局のところ受け入れることはできない。

プレイボーイとは縁を切れ! ドラマ『東京ラブストーリー』

『東京ラブストリー』

言わずと知れた大ヒット恋愛ドラマ。

1991 年の放送当時には1話もまともに見たことがなく、それ以後幾度かの再放送にも興味なく時は過ぎ、今回訳あって日本映画専門チャンネルでの一挙再放送を録画&一気視聴してみました。

これで「観た?」と聞かれても、胸を張って「観ました!」と言えます。

はい終わり。

 

ではなく、少しこのドラマについて書いておこうと思います。

 

まず登場人物を整理。

  • 赤名リカ(鈴木保奈美)ー帰国子女。「ハートスポーツ」の社員。
  • 永尾完治(織田裕二) ー”カンチ”。「ハートスポーツ」の社員。高校の時からさとみのことが好きだったが、リカと付き合うようになる。
  • 三上健一(江口洋介 )ーカンチの高校の同級生。医大生。さとみのことが好きで付き合うが別れる。
  • 関口さとみ(有森也実)ーカンチの高校の同級生。幼稚園の先生。カンチの優しさに魅かれながらも、高校の時から好きだった三上と付き合う。
  • 長崎尚子(千堂あきほ)ー三上と医学部の同級生。親の決めた婚約者がいる。
  • 和賀夏樹(西岡徳馬) ー「ハートスポーツ」の部長。リカと不倫関係にあったが円満に解消している。

このドラマをざっくり言うと「プレイボーイとは縁を切れ!」です。

上記の登場人物の三上以外の人々は、三上のせいで振り回されているだけです。

 三上の女グセの悪さ→さとみが不安に→カンチに相談→カンチがさとみに親身になる→リカの嫉妬

この図式が延々と繰り返されます。

三上と接点のない和賀部長でさえも、リカの情緒不安定に付き合わされるのは間接的に三上せいと言えます。

三上が他の女との関係をすべて清算してさとみだけを愛していれば、さとみはカンチに頼る必要もなく、リカの情緒不安定も生じずに2組のカップルが仲良く存在できます。

では三上はさとみのことをさほど愛していないのか?と言うと全くそんなことはなく、

三上はさとみにゾッコンと言ってもいいくらいです。

なのに「いろんな女がいたらそれぞれ好きになる」というようなことを言って、医学部の同級生尚子の結婚も、映画『卒業』よろしくぶち壊そうと目論むほどです。

そんな三上との交際に疲れたさとみに別れを切り出されると、「いやだあ~!!」と叫ぶ三上には呆れるばかり。このシーンはこのドラマにおける「不可解さ」の象徴とも言えます。

古今東西、ドラマでも映画でも小説でも「説明できない感情」はごまんと描かれていますから、「不可解さ」が売りの物語もそれはそれで楽しめることも多々あります。

しかし恋愛ドラマ、特にこの『東京ラブストーリー』のように「恋愛しか」テーマがないドラマにおいて、登場人物たちが「なぜその女(男)を好きなのか」が不可解でいいわけはありません。

 

たとえばリカ。

なぜカンチに魅かれるのでしょうか。

言いたいことをズバズバ言うタイプの自分と違って優柔不断だから?

わがままとも言える言動でカンチを振り回すだけ振り回して、それでも好きと言ってくれるのを期待しているとしたらただのバカです。

 

そしてカンチ。

さとみに魅かれていながらなぜリカとの関係を続けるのか?

このドラマで最初から最後まで、カンチの心にあるのはさとみだけです。

高校の時、喫茶店でクリームソーダに添えられたさくらんぼの種を自分の目の前で出せなくて飲み込んでしまい、むせていたさとみのような女性をいいなと思うカンチ。

その思い出を、今さとみと付き合っている三上に話してしまうほどさとみから心が離れていないカンチ。

そもそもただ強引に詰め寄ってくるリカの勢いに押されて付き合うようになってしまっただけのカンチ、この男も優柔不断というよりバカです。

 

このように、登場人物の動機がまったくもって不可解。

不可解というより、薄っぺらくて感情移入できないと言ったほうが正しいでしょうか。

 

だれにも感情移入できない。

 

ならばいっそのことバカの極み、三上の暴走を期待したかったところですがドラマの最後で三上は尚子と結婚してしまいます。

なんなんだ、これは!?

しかも前の結婚ドタキャンに怒っているので列席しないと言っておきながら、教会に入ってくる尚子の両親。

要ります?このシーン?

 

蛇足の極みです。

 

描かなくてはならないものを描かずに、

描かなくていいものを入れ込んでくるドラマ。

そんなドラマでもヒットできた、90年代初めというバブル崩壊直前の、

日本がもっとも弛緩していた時代のドラマ。

 

最後に総括すると『東京ラブストーリー』はそういう時代においてだけ受容されうる、

時代を越えては残れないドラマということでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラマ『義母と娘のブルース』

偶然チャンネルを合わせたらはまってしまい、初回から観続けている『義母と娘のブルース』。
大手企業のエリートキャリアウーマンが一転、血のつながりのない娘を育てていく笑いあり涙ありの物語です。
前半は、彼女が義母になったいきさつや依頼主である「夫」の死が描かれ、後半は義母と高校生になった娘の新たな展開が描かていきます。

マンガ原作なので設定がやや強引ではありますが(だっていくら優秀だからと言ってライバル会社の女性部長に自分が死んだ後の娘の世話を頼むというのは現実的とは言えません)出演者の力演、涙と笑いにメリハリをつけた丁寧な脚本と演出によってぐいぐい引き込まれています。

 

とにもかくにも綾瀬はるかの振り切った演技が見ものです。

 

義理の娘に90度お辞儀して名刺を差し出したり、お腹にマジックで顔を描いて義理の娘を笑わせようとしたり、大仰な土下座の仕方を部下に伝授したりなどはキャラクター描写の一つですが、一歩間違えるといかにも「美人女優が恥ずかしいけどいちおうや頑張りました」みたいな中途半端な「ママゴト演技」になってしまいがちです。

そこを綾瀬はるかは思い切り振り切って演じてみせてくれます。
「ちょっと世間からずれてしまっているキャリアウーマンの滑稽さ」に嘘っぽさがないいので本気で笑ってしまいます。


ほんとに可笑しい、そして何より可愛らしい!

 

後半は、前半から伏線が張られていた、佐藤健扮するダメ男のパン屋を綾瀬はるかが再建していきます。
佐藤健も演技巧者らしく、綾瀬はるかにぴったりテンションを合わせて張り合っています。

ところでこの二人、映画『リアル~完全なる首長竜の日』で共演」しているのですよね。映画観たのにすっかり忘れていました、ごめんなさい。


共演後に熱愛・・・とか私は全く興味がありません。
このドラマ『義母と娘のブルース』がいいドラマだったなあ!!!と満足させてくれるものになることを期待しています。

 

あ、いつも何を言っているのかいまいち聞き取れない竹野内豊が、予想以上にいい味の演技をしていたことを最後に付け加えておきます。

夏のもつ焼き名店探訪

このお盆休みに、2軒の有名もつ焼き屋に行くことができました。祐天寺の「もつやきばん」と堀切菖蒲園の「もつやきのんき」。2軒ともお店めがけて行ったのではなく、街歩き最中の「行ってみよっか」という気まぐれで。2軒とも普段なら常連さんたちでいっぱいで、ふらっと行っても入れないか長時間待たされるのが必須と聞いていたお店。わりあいとすんなり入れたのは幸運でした。

「もつやきばん」はもつ焼き以外のメニューも豊富。お腹も空いていたのでマカロニサラダや煮込み、名物レバカツなどいろいろ注文するもどれも美味。最初は瓶ビール(大瓶)、つづいてこの店が発祥の地と言われる「レモンサワー」を飲まぬ手はないと、もつが焼きあがる頃に注文。大ぶりのかしらやタンを噛み噛みして味わいながらレモンサワーをゴクリ。「プハーッ!」となりました。

このお店は雰囲気もとても良くて、混んできたのでさすがに私たち2人連れが座っていた4人席も相席をお願いされましたが、もうあらかた食べ終わっていたころだったので「どうぞ、どうぞ」という感じでした。その前にも店員さんが新規のお客さんを案内しようと私たちのテーブルを見るも、別のテーブルに相席させたりしていたのですが、思うに私たちのテーブルにまだ料理のお皿がそれなりにあったので、タイミングを見計らってくれていたのでしょう。吉祥寺のどこかの有名もつ焼き店のような、奥行のないテーブルに見知らぬ人と向かい合っての相席を強要するような横柄さはここにはありません。

 

数日置いて行った堀切菖蒲園の「のんき」は、メニューの数は多くはないものの、さくっと串を食べて2、3杯飲んだら「おあいそ」という、長居は無粋な感じのお店です。それだけにもつ焼き一つ一つのクオリティが素晴らしく、まだまだもつ焼きひよっこの私にとって、お店の焼き方によっては苦手な「シロ」も思わず「美味しい」とつぶやいてしまうくらいでした。

この店ではシロは3時間煮てから焼くそうです。ゆえにしつこい脂っぽさがなく、やわらかくツルンとしていて美味なのですね。一人出てはまた一人常連さんが入ってくるのでお客さんの切れ間のないお店です。ここではビールの後に名物「ボール」を飲みました。ボールとは焼酎ハイボールのこと。これがまたもつに合います。

 

数年前は食わず嫌いでもつ焼きはタンくらいしか食べられなかった私ですが、こうしていっぱしに名店探訪を語ってます。もつ焼きは懐は深いですね。

あ、「のんき」の煮込みは冬場のみのメニューです。ご注意ください。

 

 

 

 

 

スポ根映画と呼びたい、加藤泰

『炎のごとく』(1981年 監督:加藤泰)をDVDで観ました。観ていたつもりで観ていなかった・・・不覚。加藤泰監督の作品は、いったん観始めたら最後、終わるまで目が離せなくなるので「ちょっと途中まで観るか」などという軽い気持ちはご法度です。

 

あらすじはWikiのほうが正確で登場人物も網羅されているので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。

この『炎のごとく』は菅原文太演じる「会津小鉄」と呼ばれる仙吉が、倍賞美津子演じる盲目の三味線弾き(瞽女ごぜ)のおりんに命を助けられるところから始まります。仙吉は自分に人生賭けたと言ってくれたおりんを幸せにすることを誓います。仙吉は「女にむごいことする奴、嫌いじゃ」が口癖。世話になる人足屋の親分にも「おりんが一番だから」と言って盃を交わすのを断ろうとしたり、縄張りをはっきりと決められていない川の中州に賭博場を作って騒動を巻き起こしたり「変わり者」ですがその直情型の魅力が人を惹きつけます。

さあこれからという時に最愛のおりんが殺されてしまい、逆上した仙吉が4人の親分衆に諭されてなお大泣きするシーンは泣けます。自分に正直で裏表がなく、怒ったり泣いたり笑ったりが激しい仙吉の行動、生き方はまさに炎のようです。

おりんも、仙吉の許嫁のとみは激しくはないけれど、じっと仙吉を思う姿がまたしずかな炎のようでもあります。

この映画は・・・というより加藤泰監督の作品全般が、激しく、登場人物はたいがい熱く燃えています。汗や涙にまみれています。大げさに泣き、わめき、怒りまくります。スポ根マンガのようです。

『炎のごとく』ではまた、「新選組」が描かれています。近藤勇沖田総司らはまだいいとしても、芹沢鴨の描かれかたはひどく、新選組についてたいした知識のなかった私は「新選組というのは滑稽でひでえ奴らだ」という認識を得ました。「京都で友達がほしいんだ!」という近藤勇には笑いました。友達って・・・しかもその関係は対等ではなく、まず上から目線の付き合いです。誰も友達になりたくありません。

そして、芹沢鴨新選組志士の佐々木が結婚を誓い合ったあぐりを自分の愛人にすると宣言して無理やり奪い取ろうとします。結局逃げようとした2人は芹沢の腰巾着新見に斬られて死んでしまいます。これが2人を見守っていた仙吉の逆鱗に触れ、芹沢鴨の暗殺につながったというのはフィクションですが、私はこれを史実として記憶することにしました。

実は、「目が離せない」のは熱い人物、ストーリーもありますが、それ以上に加藤泰監督独特の構図にあります。誰かが説明的なセリフを言うだけのシーンでも、4つも5つもカットを割ってみたり、それも右から左から、アップ、どアップとぐいぐいカメラが役者の顔をとらえていきます。男女が顔を近づけて会話しているだけなのに、顎の下から撮ってみたり、一瞬何が映っているのかわからない時もあります。よく、面白半分にいろんなカットをつなぎ合わせてみたり、変な角度から撮ってみた構図をこれみよがしに映し出す映画というのもありますが、加藤泰作品では一つ一つのカットに面白半分なものはなく、「これしかありえない」という確信に満ちています。真剣勝負と言ったたぐいの、失敗したら斬られるのではというくらい、入魂のカットをたたみこんできます。

まさに一撮入魂(そんな言葉あるのか?)。スポ根感もいっそう高まります。

ゆるい気持ちで観ることは許されない、でも観た後には心地よい疲労感でいっぱいになります。暑い夏に涼しい部屋で加藤泰映画をどうぞ。

 

 

 

 

 

外の温度は37 ℃

エアコンの「室温/外気温」ボタンを押してみました。「お部屋の温度は27℃、外の温度は37℃です」・・・ 思わず「いいね!」と言ってしまいました。おっと不謹慎(?)

ベランダに出てみました。うん?それほどでも・・・ 

買い物に出ました。あ、これは危険です、ごめんなさい。でも37℃の世界を体感してみるのも悪くはありませんでした。サングラスと日傘があれば、とりあえず歩くのには支障ないなというのがわかりました。

酷暑でいいこともあります。洗濯ものが乾きまくります。最近は毎日洗濯をするので、朝干して昼過ぎに触るとカピカピに乾いていると、妙な達成感があります。家事というのはこういう小さな達成感を味わえる貴重な仕事だということがわかります。

 

観始めたけれど途中でなんだか辛くなってきて放置しておいた、河瀬直美監督の『光』を最後まで観ました。視力を失っていくカメラマンと、映画の音声ガイド制作をしている女性の話です。わずかに見えていた目がだんだん見えなくなっていく「見え方」の映像は見えなくなった経験を持つ視覚障碍者への取材を基にしているのでしょうか。切実というより恐怖を感じました。カメラマン役の永瀬正敏が、歯磨きチューブの文字がわずかににでも判読できて「よかった・・・」と絞り出すようにつぶやくシーン、その後電車の窓に流れる景色が完全に見えなくなってしまったのを認識するシーン、心臓がグイっとなりました。

 

 

笹団子がおいしいです

毎年6月中ごろに、新潟から笹団子がたくさん送られてきます。笹で包まれたよもぎ団子。中のあんこがたっぷりで嬉しい。冷凍しておいて、食べる分だけ常温で1時間くらい放置するとそのまま食べるのに程よく解凍されます。今食べたいという時はラップしてレンジで1分チン。熱々をふ~ふ~しながら食べるのもよし。笹の香りがフワ~っと広がり、よもぎとあんこのマッチングに舌鼓。クーラーの効いた部屋で熱い緑茶とともに食べる笹団子、最高。

 

今日はキネカ大森まで『バーフバリ 王の凱旋』を観に行ってきました。前作『バーフバリ 伝説の誕生』の続編。歌って踊って戦って、もりだくさんなので3時間あっという間です。一見荒唐無稽に見えるシーンに苦笑いを誘われますが、世界観とキャラクター設定がきちんとしているのと、俳優たちの濃い顔立ち、強い目ヂカラに、そんな皮肉っぽい気持ちは吹っ飛び、やや強引なストーリーにもぐいぐい引き込まれていきます。

夏にぴったりの映画です。